アンティークの知りたい基礎知識|アンティーク家具を取り入れたお部屋作りや、アンティーク家具のお手入れ方法をご紹介しています。せひ参考にしてください!

家具や小物で耳にするオルモルとは?金色だけど、金で作られているの?

オルモル(ormolu)とは、18世紀頃から登場した、金メッキ技術と、その装飾の事を言います。もともとはフランス語のmoulu(地面やおおい金の意味)。家具や装飾品を飾るオーナメントとして使われています。フランス語ではブロンズドレ(bronze doré)と呼ばれ、真鍮や銅といったゴールド色の金属や金でめっき加工されたものを言います。

    • オルモル家具の装飾は金から作られてるの?,オルモル装飾,オルモルとは,アンティーク家具装飾,ブロンズドズレ,コモード,インレイ,マルケトリ

      真鍮製のハンドルや鍵穴、脚先や角を家具に合わせた形になった真鍮装飾が家具装飾技術の高さを表していたオルモル装飾のコモード。

    •  オルモル家具の装飾は金から作られてるの?,オルモル装飾,オルモルとは,アンティーク家具装飾,ブロンズドズレ,コモード,インレイ,マルケトリ

      真鍮製のアカンサスハンドルに、インレイ細工が美しいオルモルコモード。

当時、一般的には金アマルガム法でめっきが施されていました。水銀に金を近づけると溶けるように金を吸い込み、金アマルガムになり、金アマルガムから、鹿皮や反古紙などによって余分な水銀を搾り出し硬度を調整します。鍍金を施す銅の表面を磨き上げ、梅酢などで清浄し、均一に延ばし火にかざすと、およそ350℃で水銀が蒸発するため、水銀の色が抜けて金色に変化します。この状態では鍍金表面には細かい粒子凹凸が残っているので、鉄ヘラのようなもので丁寧に磨くと完成します。
この様な方法で繊細で美しいオーナメントが作られ、当時の職人の技術の高さを示す、装飾家具として人気となりました。
他にも、水銀に銅や真鍮、亜鉛に金や金の粉でゴールドめっきするなどの方法もあります。

ナポレオン時代のアンピール様式にもよく使用されている、装飾技法です。

    •  オルモル家具の装飾は金から作られてるの?,オルモル装飾,オルモルとは,アンティーク家具装飾,ブロンズドズレ,コモード,インレイ,マルケトリ

      ブラックと真鍮ゴールドが威厳あるナポレオン様式のオルモルコモード。

 

コモードとは

コモード(commode)とはフランス語でたんす、ドレッサーの事です。17~18世紀頃にヨーロッパの宮廷で、壁面に肖像画を飾り、その下の空間を飾る装飾家具として、客間や寝室に使われていました。

ルイ14世時代の当初は2段の引出が多く、脚が長いデザインでしたが、ルイ15世の時代から3段や、それ以上の引出が付く様になっていきました。引出や側面が曲面になっている、ボンベ型(Bombé commode)は装飾性が高いのが特徴です。

    •  オルモル家具の装飾は金から作られてるの?,オルモル装飾,オルモルとは,アンティーク家具装飾,ブロンズドズレ,コモード,インレイ,マルケトリ

      2段の引出で、ボンベ型のコモード。装飾家具として部屋を彩って。

    •  オルモル家具の装飾は金から作られてるの?,オルモル装飾,オルモルとは,アンティーク家具装飾,ブロンズドズレ,コモード,インレイ,マルケトリ

      引出の段数が増えてきたコモード、収納力がアップして、実用性もあります。女性らしい小ぶりなサイズのルイ15世様式。

 

インレイ、マルケトリとは

インレイ(inlay)とは、日本語では象嵌(ぞうがん)と言い、一つの素材に異質の素材を嵌め込むと言う意味です。
家具や建物の内装、木製品の表面などに施される寄木細工です。国や時代によって様々な技法があり、フランスアンティークに良く用いられるマルケトリもインレイ細工の1つです。

歴史は古く、古代から存在していましたが、15~16世紀のイタリア、フィレンツェ、17~18世紀にはフランスや南ドイツで発達しました。
日本にも飛鳥時代に伝わり、江戸時代には日本刀や甲冑、明治以降は鏡や重箱などの装飾として職人達により施されました。

木を用いた作品は、木の種類や木目、色味の違いを活かして迫力のある表現がされます。木のほかにはホーン、象牙、べっ甲、マザーオブパール、ピューター、真鍮等が用いられます。模様に合わせてはめ込まれ、平らになった表面にさらに表面に光沢を出す加工も施されます。

家具の表面をレンガの様に幾何学模様の連続で飾ったり、花や植物の模様で飾ったり、様々なパターンがあります。

    •  オルモル家具の装飾は金から作られてるの?,オルモル装飾,オルモルとは,アンティーク家具装飾,ブロンズドズレ,コモード,インレイ,マルケトリ

      木目や色の違いを活かして表現された花の模様のインレイ細工。

マルケトリ(marquetrie)はフランス語。英語ではインタルシア(intarsia)。主に木製の細工を指します。
インタルシアは木の表面に浅い穴をあけ、そこに木をはめ込む方法で、マルケトリはより精巧で、装飾した薄い木製パネルを作り、接着させる方法と言われています。1898年にエミール・ガレが特許を取得した、ガラスにガラスを象嵌する技術もマルケトリと呼ばれています。マルケトリは木だけでなく、金属等の素材が使われたものも指す様です。

18世紀~19世紀頃では、インレイ細工とゴールドのオルモル装飾を合わせて製作された、豪華な装飾家具が多く見られます。

関連商品

 インレイ細工ルイ15世テーブル
真鍮のオルモル装飾と花やロココ調のインレイ細工が全面に施された、カブリオールレッグの曲線的なルイ15世テーブル。普段はデスクとして、時には手芸や作業テーブル、ゲームを楽しむ等、用途によって使い分けられる個性的なルイ15世カードテーブルです。
 

 

 
アンティークオルモルコモード
インレイ細工とオルモル装飾で飾られた優雅な型曲線シルエットのコモード 。
 

 

 

パディントンのアンティークコモード商品一覧はこちらから

 

 

 

関連記事

アンティーク家具の歴史

 

 

 

家具脚のデザイン集