インダストリアルライトの魅力

ヴィンテージショップやカフェで人気のインダストリアルライトで有名なメーカーのご紹介
インダストリアルライトとは
インダストリアルデザインは1919年にアメリカで誕生しました。
産業活動に密着したアメリカのインダストリアルデザインに比べ、ヨーロッパは美的水準の向上を目的に発展してきました。
そんな中、優れたデザイナーと技術により作業用ランプとして機能性と独自のスタイルを獲得し、現代でも支持され続ける照明メーカーが成長していきます。

プロジェクターライトやファクトリーライト、エナメルシェードライト等、沢山のライトを天井から吊るすのが工場風。
機能美と優れたデザイン性が人気の,デスクライトで有名な、ジェルデ社(Jielde)、アングルポイズ社(ANGLEPOISE)、工場用の照明と、独自の明るいプリズムガラスで有名なホロフェーン社(holophane)など。
高品質な自社製品を使った新しい商品開発を積極的に行ってきた、歴史のある人気メーカーです。
時代と共に使われ方が変化し、作業用ランプとしてだけではなく、格好良いインテリアとしても注目され、デザイン通の人をはじめ、一般の人々まで幅広く愛用されています。
アングルポイズ製やジェルデ製のライトは勿論、ヨーロッパの街中では工場で使われていた大きなファクトリーライトをカフェや雑貨屋さんのインテリアとして大胆に取り入れている様子を見かけました。

フランスで見かけたカフェテラスにはシックなブラックの大きなファクトリーライトが使われて。

フランスにはパルファム屋さんが沢山。オリジナリティを出す個性的な内装で、インダストリアルライトが効果的に使われています。
ジェルデ社(Jielde)とは

ジャン・ルイ・ドメック氏によって1950年に設立されたフランスを代表する照明メーカーJielde(ジェルデ)のアンティークデスクライト。
ジェルデ社とは、ジャン・ルイ・ドメック氏によって1950年に設立されたフランスを代表する照明メーカーです。Jean-Louis Demecqのイニシャル”Ji eL De”を取って”Jielde(ジェルデ)”と名づけられました。
普遍的な機能と美しいフォルムを持ったこのランプは、工場やオフィスなどのワークシーンだけでなく、インテリア空間でのスタンダードランプとして取り入れられています。
1940年代、フランスで整備士として働いていたジャン・ルイ・ドメックは、整備士としての技術を生かしてジョイント部の配線の代わりに金属製のリングをかませ、2つのリングが回転する事で電気を通す仕組みを作り、配線が無く自由自在に回転するランプの開発を始めました。
1950年に図面が完成。1953年ついに新しい構造のジョイントを持つランプを発表。
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Jieldeジェルデ製のフロアスタンドライト。5本アームの迫力あるフロアスタンドライトです。
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丸いシェードが特徴的なジェルデのライト。内側は光を反射してより明るく見せてくれるホワイト塗装で機能的。

配線が無くすっきりとしていて、自由に角度が調節出来るジョイントアームは、デザイン的にもおしゃれなインテリアとして部屋を彩って。
Jieldeのロゴのタグが付いたネック部分には、360度回転可能なヘッドが付いています。ジョイント部分はジェルデ社が特許をもつワイヤレスジョイント。特殊な金属製の回転リングを使用し、丈夫で操作性が高く自在に回転が出来、断線の心配もありません。

ジェルデ社のメーカータグ。当初はスチール製、後にシールになります。デザインも変化しているので、タグから製造年代を知る事が出来ます。
1980年代にはその機能性とデザイン性の高さから、デザイナーやスタイリストたちが工業用から日常生活へと取り入れはじめ、Ponpidou Centerでの展覧会や、Paris Museum of Decorative Artsのコレクションにも加わりました。
ジェルデ社のランプは今もリヨンの職人たちによって1台ずつ手づくりされ、今なお世界中で愛用されています。
ジェルデ社のメーカータグ
プレート張りやシールなど、年代によってメーカータグも変わっていきます。

1950年代 スチール製ロゴ

1970年代 スチール製ロゴ
アングルポイズ社(Anglepoise)とは

アングルポイズ(Anglepoise)社製のテーブルランプ。インダストリアルなデザインが魅力です。
アングルポイズ社とは、1855年にハーバート・テリー(Herbert Terry)が息子3人と共に設立したイギリスを代表する照明メーカーです。
誕生から75年以上を経た現在でも、オリジナルモデルから最新のモデルまで幅広いファンを持ちタスクランプのアイコン的存在となっています。
設立当初は、スプリングメーカーとしてHerbert Terry and Sons Ltd. の名前で自動車のサスペンションパーツやサドル、スプリングクリップなどの製品開発と製造をはじめ、自社製品を使った新しい商品開発を行っていました。
1932年、自動車メーカーエンジニアのGeorge Carwardine (ジョージ・カワーダイン)によりTerry’s ブランドのスプリングを用いた4本スプリング型の最初のアングルポイズランプが誕生。
1934年には特許を取得しました。
その後、12インチの短いアームがついた”1208”とジョージの特許の原型と同じスケールの18インチアームの”1209”は、機能性が高く人気の商品となりました。
1935年、一般家庭をターゲットにした3本スプリングタイプの”1227”を製造し”1209”以上の大成功を収めます。

1935年発表の一般家庭をターゲットにした3本スプリングタイプ、アングルポイズ 1227。
戦後になると、シェードが少し大きくなった”model 50”を発表。素材をスチールからアルミニウムアームに変更。
1960年代、ソケットがシェード部分に内蔵された”model 75”を発表。1970年代、”APEX90”を発表。ロッカスイッチをプッシュスイッチに変更しがアースが不要になりました。1981年、”Sola”を発表。PHILIPS社の最初の電球型蛍光灯を利用した省エネランプ仕様になりました。
2003年にKenneth Grange(ケネス・グランジ)がアングルポイズのデザインディレクターとして加わり、”Type 3”、APEX90をリニューアルした”Type 75”、”Type 1228”と新モデルが次々と発表され、現在では今なお人気の”1227”を復刻した”Original 1227”も発売されています。
アングルポイズ社 デザインの変化

1935年~のアングルポイズ初期1227モデル。
1935年から製造され、中でも大ヒットとなったアングルポイズ初期1227モデルです。復刻もされていない為アンティークでしか手に入らない希少品です。こちらは1227の中で後期に作られた、シェードの縁がすっきりしたタイプ。

1960年代~アングルポイズmodel 75。
1960年代 model 75。ソケットがシェード部分に内蔵され、よりすっきりしたデザインになりました。

1970年代~アングルポイズ APEX90前期モデル。
1970年代の、APEX90。こちらは前期モデルの、スタイリッシュながらクラシカルなパーツを残すミックススタイルがアンティークのアングルポイズならではの魅力です。

1970年代~アングルポイズAPEX90後期モデル。
1970年代の、APEX90。こちらは後期モデルの、すっきりしたシェードのモダンなデザインです。
アングルポイズ社のメーカーマーク
アングルポイズ社のメーカーマークは、アーム付け根に刻印されています。
初期は両面にあり、年代によって少しづつ変わり、片面のもの、1970年代頃からは刻印が無いものも見られます。
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アングルポイズ1227のメーカーマーク。The Anglepoise pat in UK and abroad と文字入り。
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アングルポイズ1227のメーカーマーク。Herbert Terry and Sons Ltd.と文字入り。
こちらは1227のメーカーマーク。片面にはHerbert Terry and Sons Ltd. もう片面にはAnglepoiseと文字があります。
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アングルポイズ model 75のメーカーマーク。
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アングルポイズ APEX90のメーカーマーク。
上はmodel 75のメーカーマーク。下はAPEX90のメーカーマークです。
ホロフェーン社(holophane)とは
ホロフェーンとは、1898年イギリスロンドンで設立された照明関連製品のメーカーです。商業用や、工場、屋外用、緊急照明等を製造していました。会社はイギリス、製造工場はアメリカにありました。
ホロフェーン製品の特長はプリズムガラス。イーンジャル(Endural)と呼ばれるホウケイ酸塩ガラスの反射・屈折ガラスです。暗い斑点やギラギラしたまぶしさを発生させずに、均一に照らしてくれます。
この、リブ付きガラスのシェードは、ヴィンテージスタイルの照明の象徴として人気です。

ホロフェーン社製のヴィンテージライト。

ガラスシェードが特徴的なホロフェーン社製ライト。
関連商品
ジェルデ社製ウォールランプ
自由に角度を変えられるので、好みの場所を照らす照明として。玄関ポーチや室内の壁面やキャビネット、オブジェを照らすスポット、デスクの手元を照らす作業用デスクライト等、自由に取り入れたい、ジェルデ社製、壁付けウォールライト。
アングルポイズランプ
1227モデル、クリームカラーのアングルポイズランプ。1227モデルはそれまでの工業的な印象から、一般家庭用に設計され広がったデザインで、今では製造されていないので入手不可能な、アンティークのアングルポイズならではの魅力を楽しみたい。
アンティークホロフェーンライト
ストライプのプリズムガラス越しから光が零れる、ブラックのホーローシェードのホロフェーンライト。エナメルとメタル、ガラスの素材感がシンプルに伝わってきて魅力的。
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