ルテルマ (Luterma)とは
エストニアの家具メーカー、 ルテルマ の歴史と商品の紹介
ルテルマ (Luterma)とは
ルテルマとは、1877年、エストニアの首都、タリン(Tallinn)にアレキサンダー・マーティン・ルーサー(Alexander Martin Luther)によって創業された、木製家具メーカー、A.M. Luther社(A.M. Luther Woodworking Company)で製造された製品のトレードネームです。
タリンの街の旧市街は世界遺産で、中世の美しい風景が魅力的です。バルト海に面した湾岸都市でもあります。
工芸が盛んな街で、木工製品屋や鍛冶屋等が並んでいます。
1742年以来、亜麻と塩等を扱っていた商社でしたが、木材製品と建材が加わり、成長していきました。
1880年に彼女はタリンに工場を設立、機械を導入し、木製の家具の製造を始めました。息子のクリスチャンとカールは技術教育と、木材産業の最新動向と国際動向を研究。機械化木工の新しい方法に興味を持ち、合板生産の画期的な技術を導入しました。
当時の需要の拡大により、国内はもちろん海外へと家具を輸出販売していました。
特徴的なのは、エストニアで作られるベントウッド(合板)を使って作られる製品。美しいエンボス装飾模様が施されたり、座りやすい様に曲面的になったシートの製造のパイオニアの1つでした。椅子の他にもベントウッド製の家具や、ハットボックスやトランク、植物標本用の採取バッグ、雑貨小物等が作られていました。
1921年から1928年にかけ、モダニズムを代表するドイツの建築家、ヴァルター・グロピウス(Walter Gropius、1883~1969)と、建築家、家具デザイナーのマルセル・ブロイヤー(Marcel Breuer、1902~1981)と共同制作をしました。ヴァルター・グロピウスは世界的に有名な建築教育機関、バウハウス(Baunhaus)の創設者で、近代建築の4大巨匠の1人(ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ)。マルセル・ブロイヤーはハンガリーのモダニズム建築家、家具デザイナーで、モダニズムの父のひとりと言われています。1920年代バウハウスで学び、後に同校の教官となっています。
ヴァルター・グロピウス監督のバウハウスのワークショップで、人間工学を含むオブジェクトの機能や新素材のテストし、家具の標準化に向けた研究を行っていました。
二人がデザインした椅子とテーブルは、タリンのA.M. Luther社の工場で製造されました。A.M. Luther社は長年にわたり研究を続け、新しい素材を使用し、安価で簡単に製造、組み立てが出来るシンプルな家具の生産に関する専門知識を開発しました。
1919年、ルテルマはリビング、オフィス向けのデザイン性と機能性を組み合わせた家具、小さなアパート向けの現代人のニーズに合わせた製品を製造しました。
1908年には、Venesta Plywood Company(ベネアとエストニアを組み合わせた名前)という名前でロンドンに支店を開設しました。この販売代理店では、アイソコン社(ISOKON)創始者のイギリスの家具デザイナー、ジャック・プリチャード(Jack Pritchard、1899-1992)と協力してきました。
彼は後の1935年、ヴァルター・グロピウスをデザインディレクターに迎えアイソコン社を設立。マルセル・ブロイヤーも家具デザイナーとして参加し、2年間の間にプライウッド製の様々な家具をデザインしました。
1930年代は、化学的な家具生産方法の可能性を信じるモダニストのデザイナー達が、プライウッドを好んで取り入れた時代でした。
合板産業の誕生、発展と共に成功を収めたルテルマ製のチェアや製品達。
エストニアがソ連に占領された1940年に工場は国有化され、会社は閉鎖されました。
ルテルマ製のメーカータグ
関連商品
関連記事
ヤコブ&ヨゼフ コーン社(Jacob&Josef Kohn)とは
アンティーク用語集の最新記事
-
CATEGORY : アンティーク用語集UPDATE : 2018/03/21
-
CATEGORY : アンティーク用語集UPDATE : 2017/12/02
-
CATEGORY : アンティーク用語集UPDATE : 2017/10/03
-
CATEGORY : アンティーク用語集UPDATE : 2017/08/31