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大ヒットカフェチェア「No.14」を生み出したトーネット社の歴史と商品の紹介

トーネット社(Thonet)とは

トーネット社とは、1819年に設立されたドイツの家具メーカーです。

特徴は創設者ミヒャエル・トーネットが開発した曲げ木の技術と、量産。

それまで生産が難しかったベントウッドの家具を世界初量産させ、中でも「No.14」はデザイン性が高く、世界中で大ヒットとなりました。

カフェやビストロ、バーなどでは現在もトーネットチェアが愛用されています。

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    トーネットNo.14 のチェア。

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    美しい曲木のシルエットのカフェチェアの代表的存在トーネットチェアNo.14です。

1796年ドイツのラインラント州=プファルツ州ボッパルト生まれのミヒャエル・トーネット(Michael Thonet)は、建具職人の下で修業し、23歳の時に独立、1819年、ワルプルギスガッセに工房を設立しました。

1830年、薄い板を膠(ニワカ)で張り合わせ、水蒸気で木を蒸して柔らかくしてから曲げるという合成板の技法を開発し、家具を製作しました。

これまでの重厚な彫刻が施されたデザインから脱却し、全く新しい、エレガントで軽く丈夫な家具として、そのファッション性をアピールしました。

1836年、「Boppard Chair(ボッパルトチェア)」を発表。

柔らかくした合成板を型にはめて圧力をかけ、乾燥させて作られた形はこれまでの木の家具に無いような曲線的なデザインでした。

1841年、フランス、イギリス、ベルギーで合成板を曲げる特許を取得。

オーストリア宰相、メッテルニヒのすすめで1842年に一家でウィーンに移住、1849年に工房を持ちます。

メッテルニヒの口添えもあり、ウィーンの貴族クラスの顧客を獲得しました。

 

1849年秋、ウィーンのカフェ「ダウム」(Cafe DALM)の女主人からカフェの椅子の注文が入り、くるんと丸いハート型スクロールの背もたれの、「No.4 ダウムチェア」を製作。

技術的に難しかった曲げ木の椅子として、曲げ木に適したビーチ材(ブナの木)を用いて、水蒸気で熱して柔らかくし、鉄帯と一緒に鉄製型にはめ込み、万力で固定して木を曲げます。

その後乾燥させて美しい曲線を作り上げました。

この技法の開発でNo.4はトーネットにとって初めての量産家具となりました。

このNo.4は、1851年ロンドンで開かれた第一回万国博覧会に出品され、銅メダルを受賞。

 

1853年、社名をGebrüderThonet(Thonet Brothers company)に変更、5人の息子と経営。

1856年、ブナ材が豊富なチェコのモリヴィア(Koryčany, Moravia)に工場を開設。

曲げ木技術の特許を取得。

量産は好調で、木材の調達の為、ブナ林の近くに工場を作り、オーストリア、ハンガリー、ドイツ、ポーランド、チェコ等ヨーロッパ各地に工場を持つ事になり、販売はロンドン、パリ、アメリカ各地にと世界中にシェアが広がりました。

 

1859年、「No.14」の椅子を製作。

トーネット社の椅子はパーツごとの分解状態で工場から出荷され、1㎡に36脚分の椅子のパーツが収められ、世界中に輸出されました。その後販売店で組み立てられ、販売されました。

また、エンボス模様やケイン編み等の座面の柄や、リング型、アーチ型、クロス型などストレッチャーのデザイン、背もたれのデザイン、サイドプレスのあり、なし等、組み合わせを自由に選べました。

その画期的なプロセスで、1867年のパリで開かれた万国博覧会で金メダルを受賞。

最も売れたトーネット社の代表的な椅子となり、曲げ木の椅子としてアイコン的な存在となりました。

ミヒャエル・トーネットがウィーンで亡くなる1871年までに、約360万脚の椅子を含め、約420万もの家具を製作したと言われています。

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現在もヨーロッパや世界中のカフェやレストラン、ホテル等で愛用されているトーネットカフェチェア。

1866年、「No.18(ウインナーコーヒーチェア)」を製作。

1869年に曲げ木の特許が消滅し、以降はオーストリアのJacob&Josef Kohn社をはじめ、様々なメーカーで曲げ木の椅子が製作されました。

1912年、トーネットの生産がピークを迎え、椅子を始め様々な商品が世界中に販売されました。

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    プライウッドにエンボス模様が施された美しいデザイン。

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    座面や背もたれのデザインは自由に選んで組み合わせが可能だったそうです。

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カフェチェアはもちろん、ソファや家具も作られました。いずれもベントウッドの曲線を活かしたデザインでトーネット社のオリジナリティが伝わってきます。

1922年、Kohn-Mundus(コーンムンダス社)と合併、Thonet Kohn-Mundus(トーネットムンダス社)となります。

1939年、経営を一新し、Gebruder thonet(ゲブルダートーネット社)となります。

<p?戦後1946年、ドイツのフランケンベルグの生産工場をゲオルグが、ウィーン・トーネット社をフリッツ・ヤコブが再建。

別会社となり、ドイツ・トーネット社が商標権を持っています。

ドイツでは生産が中止されていた「No.14」を「No.214」としてリバイバルし、現在は5代目のクラウス、ピーター、フィリップの三兄弟が経営、様々なデザイナーとのコラボレーション作品を販売しています。

トーネット社のアイコン的デザインの椅子

1860年、ロッキングチェア No.1 Rocking Chair

1859年、カフェチェア No.14 Café Chair

1899年 アドルフ・ロースがウィーンのカフェ「ムゼアム」の為にデザインしたカフェミュージアムチェア Adolf Loos’s Café Museum Chair

1900年、事務用のアームチェアNo. 209 Armchair  は、ル・コルビジュが好み、1920年代に人気となりました。

1904年、オットー・ワーグナーデザインのアールヌーヴォーチェア No. 247 Postal Savings Bank Chair

1925年、ヨゼフ・ホフマンデザインのチェア No. 811 Josef Hoffmann’s

トーネット社の年代別メーカータグ

座面裏に紙製のメーカーラベルが張られている事が多いですが、販売された国や生産された工場ごとに言語やデザインが異なっていて、コレクタブル心をくすぐります。

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