アンティーク時計の魅力
アンティークの中でもオブジェや実用にと人気のアンティーク時計。
様々な時計メーカーの歴史や、人気の理由をご紹介します。
パラゴトロン(Pragotron)社の歴史
パラゴトロン社とは、クロック技術と視覚旅客情報システム分野のチェコの製造会社です。1953年、旧チェコスロバキア、現チェコに設立されました。その後1963年、プラハに本社を置く国営企業となりました。
家庭用や駅や学校、公共用の時計の製造をはじめ、1980年代以降は電子時計、90年代以降は情報ボードシステムが発達し、チェコスロバキアのほぼすべての駅はパラゴトロンのシステムが使われていました。また、ポーランドなど周辺ヨーロッパでも取り入れられました。
数回社名を変更し、現在はElektročas-Pragotronという社名で、個人用のクロックはもちろん、広告用の時計や、駅の電車の運行掲示板など、学校、企業、病院、公共の建物、公共スペース、塔、教会、スポーツ施設、鉄道、バス、航空輸送など、幅広い施設の為に、電子タイミングシステム技術等を提供しています。
パラゴトロンクロックの魅力
アンティーククロックとしてマーケットで見かけるのは、主に駅や学校、家庭で使われていた壁掛け時計や吊り下げ時計。ラウンド型やスクエア型。素材もメタルやベークライト製フレームが多く見られます。
小さな時計が並んだ、三角形のメーカーマークが特徴。シンプルで見やすい文字盤は、かわいいフォントのアラビア数字のインデックスもありますが、多くはバータイプのインデックスで、すっきりしたデザイン。
機能性を重視したシンプルでインダストリアルな雰囲気で、インテリアになじみやすい。壁掛けのラウンドタイプでは、より厚みがあり壁から飛び出して見える、ベークライト製フレームのものが一番人気のようです。駅で使われていた、両面が時計になったスクエアの吊り下げタイプもあり、天井から吊るしたり、柱や壁から横向きに設置したり。よりパブリック的なデザインです。
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ジャズ(JAZ)社の歴史
1919年、フランスのエンジニア達の集まりによってJAZが設立されました。質が良く喜ばれるようなアラームクロックを安く大量生産させる為のプロセスを作り上げました。
名前の由来は創立者達の3人の技術者の頭文字という説と、新しいアメリカの音楽JAZZに関連していたという説があるそうです。
第一次世界大戦が終わり、新たな経済が発展する中、目覚まし時計は時間通りに職場に向かう為に必要で、潜在市場があると考えていました。
1921年に製造された最初のモデル Le Classic は最初の一年で10,000以上販売され、大成功を収めます。この時計が革命的だったのは、1つはアラームベルがそれまでの裏ではなく上にあり、音がキレイに鳴る事。もう1つは数字が暗闇で光るので、暗闇でも時間を見たり時計を手に取れる事でした。
初期の成功から、潜在的にリスキーですがユニークなマーケティングアプローチをとる事になります。販売は小売りの時計メーカーとジュエリーショップのみ。最初の10年間はターゲットの労働者達があまり読まない雑記や新聞には広告を出さずに、逆に皆が集まる映画館でサイレントアニメ広告を映画の前に流し、映画が終わった帰り道、近所の時計屋やジュエリーショップでJazの時計を購入する仕組みを整えたのでした。
新たなモデル Le Replic や、新しいメカニズム Caliber D はとても頑丈で1921年~1955年まで使われました。1930年にはフランスの時計市場に地位を確立し、フランス製のブランドとしてのJAZが出来上がっていったのでした。
1924年にはヨーロッパだけではなくアメリカ等へも輸出を始めます。技術が向上し、主な商品は丸い真鍮やクロム製、または四角い女性用のクロックでした。1930年には新しい素材、ベークライトが登場し、ベークライト製のモデル Jazolite が作られました。ゼンマイ技術も発展し、それまでの30時間から、8日間動くようになり、毎日のねじまきが毎週のねじまきへと変わったのでした。
1934年、新たなムーブメント機械を採用した、静かでアラーム無しのマントルサイズの時計を製造。
こうしてすべての部屋にJAZの時計を飾るほどに一般家庭へと広く浸透していきました。
ジャズ(JAZ)マークの見分け方
1941年までのすべてのジャズ時計は、JAZが数字の6の上に刻印されていました。
第2次世界大戦になり、第三帝国がフランスに侵攻した時、退廃アメリカ音楽の象徴としてナチスがJAZという言葉を禁止しました。工場閉鎖を回避する為、JAZは小鳥ジャズ・ド・ボエム(Jaseur de Bohème)キレンジャクで、音楽とは関係が無いと説明し、その結果1942年以降に製造されたすべてのジャズ時計はJAZの上に、頭にふわふわの冠羽があるキレンジャクの小鳥の刻印を入れました。1941年~1967年はしっぽが下を向いた鳥が使われ、その後しっぽが上向きの鳥は1967年~1975年まで使われました。その後鳥は消え、JAZの刻印は12時の下に刻印されました。
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バヤール(Bayard)社の歴史
1725年、鉱石や木材など、豊かな自然や資源に恵まれたノルマンディの小さな村、サン=ニコラ・ダリエルモンへ、ディエップで時計職人をしていた父親が亡くなったのを機に、同じく時計職人であったその息子シャルル=アントワーヌ・クルット(Charles-Antoine Croutte)がやってきて、アトリエを構えました。1750年には8のプロダクションショップが村にでき、この町の時計製造の歴史が始まりました。
1867年、アルバート・ヴィヨン(Albert Villon)が時計店を設立、エナメル文字盤を利用した小さな国内製のアラームつきマントル時計を製造しました。彼のイニシャルA.V.を時計の背面に、横向きの歩くライオンのマークをトレードマークに加えました。1896年、アルバート・ヴィヨンとポール・デュヴェルドリー(Paul Duverdrey)、ジョセフ・ブロークイール(Joseph Bloquel) の3名で、デュヴェルドリー&ブロークイール社(Duverdrey et Bloquel)を設立、ヴィヨンが亡くなる1902年までその社名が使われました。
1928年、ブランド名がバヤール(Bayard)となりました。フランスの歴史で知られる、大胆不敵で騎士的なシュヴァリエ・デ・バヤール(Chevalier de Bayard 1473~1524年)が由来となっています。
1928年~1932年の間はデュヴェルドリー&ブロークイールとバヤール両方の名前が刻印され、歩くライオンのマークもバヤール社マークとして使われていました。
1930年代、製造が機械化していき、バヤール社の時計は世界各地に輸出されました。また、世界最初の通信販売、Manufranceにプライベートブランドモデルを作り販売したりしました。この頃の製品の、特に輸出品にはケースにマークが無く、機械部にのみマークがありました。見分け方は、エナメル製文字盤のローマ数字が同じサイズに規格化されていた点と、ケースの仕上げです。
大理石でできたマントル時計、海洋時計やハンドルがトップに付いた旅行用に持ち運べるキャリッジ時計から始まり、社名がバヤールになってからはより多くのモデル、女性用の小さな四角いbijouシリーズの時計等、丈夫で高品質の時計が生産されました。
1978年、バヤール社はスイスのジャガールヴァロワ(Jaeger-Levallois)に引き継がれました。1980年頃にはバヤール時計のリプロダクションが製造されました。
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フランス、バヤール製の、本当に小さな手のひらサイズの四角いシルエットにレトロな数字のフォントの目覚まし時計。旅行にも持ち運べる小さなサイズが可愛い、手元に置いておきたくなる形。
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